自分の病状は客観視しにくい

休日の東京駅

 障害年金の請求をする際、提出する書類で重要なものは2つあります。1つは、医師が作成する『診断書』。もう1つは、『病歴・就労状況等申立書』(初診日が国民年金の場合、『病歴状況申立書』)です。これは、ご本人やご家族など代理人が作成することもできます。

 

 私が代行請求を依頼される場合、請求される方から詳しいご病状を伺い、これら書類を私のほうで作成します。お話を伺うなかで、受給できる症状でもご本人が障害年金を請求すると、ときに不支給になってしまう理由がなんとなくわかりました。そのパターンは3つあります。

 

【パターン1:病気と関係ない部分を強調しすぎる①】

 多くの人は、自分が病気を患い、ましてや障害年金を受けるほど重症になるなど思いもよらないと思います。そのためか、病気の症状について、ご自分がショックをうけた、病気の主な症状とは違う部分をことさらに強調される場合があります。

 たとえば、治療の経過で使われた薬が合わず、副作用が表れた場合。こちらがその病気の治療について知識を持っていないと、副作用で表れた症状が、病気によるものだと勘違いしそうになることがあります。

 その症状は治療の過程で表れた一過性のものなのか、それとも治療しても表れる病気によるものなのか、見極めます。その上で、生活のしづらさを読み手に訴える文章を練ります。

 

【パターン2:病気と関係のない部分を強調しすぎる②】

 周囲の無理解を嘆いたり、逆に闘争的になったり、あるいは金銭の窮状を訴えたり、という方がいらっしゃいます。多くは病状とは関係のない内容です。

 『病歴…申立書』にこのようなことを記載しても、障害年金の審査を行う医師に、病気とは無関係の内容として伝わらないと思われます。

 

【パターン3:病気が日常になり訴えない】

 ご病気が長きにわたっている場合、ご本人にとっては、病状とともに生活することは日常になっています。そのため、「ご病気のために困っていることや暮らしにくいことはありますか?」と尋ねても、重要なご病状を些細なことのように語られたり、重要性に気付かず、お話しにさえならないことがあったりします。

 このような場合、ご本人が『病歴…申立書』を作成されたら、大したことのない症状として記されることもないかもしれません。訴える力をもたない文章になってしまうと思われます。